k.n.o.c.k

空にとけた夢がさわぐよ

大切なものに 気づかないぼくがいた

最近読んだ本。

すいかの匂い (新潮文庫)

すいかの匂い (新潮文庫)

短編集。例によってタイトル&ジャケ買いだったような。今を逃したらもう読まないかもしれないと思って読み始めたけど、一つ物語が終わるたびに風が通り抜けていくような、ちょっとぞわっとした感じが残る本だった。そういう意味では衝撃的。じりじりと暑い昼というよりひんやりとした夜に読む本なのかなあと思います。


青い鳥 (新潮文庫)

青い鳥 (新潮文庫)

学校の。教室は。みんな西を向いて座ってないといけないから、西を向くのが。つらくなる生徒も、いるんだよ。どこの。学校の。どこの。教室にも。(「進路は北へ」より)

短編集。重松作品を好んでよく読むわたしですが、これもよかった。すごくよかった。本当にたいせつなことしか言わない「村松先生」。先生によってそれぞれの作品(およびその中の人物、背景、出来事など)がつながっていた。出会った生徒の心の奥で絡まっていた糸が知らず知らずのうちに少しずつ解けていくのを見て、こんな先生に出会えていたらな、と思った。外から本の中の世界を見ている読者としては先生の伝えたいことが最後には生徒に伝わっているのがわかるから、よかったね先生、とも思った。自分の中にあるたいせつなことは自分でちゃんとたいせつにしていいんだ。